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「I LOVE YOU を訳しなさいバトン3」のおまけ的なエピソードです。この話でシリーズ終了となりますv




そういえば最上さん、と隣でハンドルを握っている敦賀さんが話題を変えた。

「今日は俺と話をするのになぜ事務所を選んだの?相談事をするのはいつも俺のマンションなのに……ましてやプライベートな内容だろう…?」
「え…?えーと、それはですね……あのぅ」

なぜわざわざそこを突っ込むんだろうと焦りつつ、納得してもらえそうな理由を考えていると、敦賀さんが先に口を開いた。

「もしかして、告白した後にその勢いで俺に襲われない為の防衛策……?」
「おっ、おそわれって…まさか、そんな事っ」

考えるわけないじゃないですかーっと、ニヤリと笑ってとんでもない事を言い出す敦賀さんに、両手をブンブンと振り否定する。

「じゃあ、なぜ俺の部屋ではなく、事務所で?」

尚も聞く敦賀さんの顔を、チラリと横目で見る。
これ、言ったら怒られそうな気がするんだけど……なんとなく。

「…ん?」
キラキラと笑顔を輝かせて返答を促す敦賀さんに、どうあっても逃がしてはくれなさそうだわと諦めて小さく息を付いた。

「だって……針のむしろじゃないですか」
「針……?」
「例えば私が敦賀さんに告白して、そして断られたとしますよね…」
「……そんな事は間違ってもありえないけど……それで?」
「その場合、すみませんでしたって帰ろうとする私を、敦賀さんは家まで送るからと申し出てくれると思うんですよ。私が電車で帰ると言っても、そんな事はさせられないと言って。そんな状況で…振られて泣きそうな気持ちの中で…敦賀さんと車内で二人っきりなんて、辛過ぎるじゃないですか……」

身を縮こませて打ち明けると、敦賀さんは「ふぅーん…」と一言だけ言葉を発して、ハンドルを大きく左に切った。国道から外れて街灯の少ない道へ入ると、車は路肩へと寄せられる。
エンジンが止まり静かになった車内に、敦賀さんの声が低く響いた。

「……と言う事は、君は俺に振られるのを前提で告白したんだ?」
「そ…そういう訳ではないんですけど……」

振られること前提と言うよりはむしろ、敦賀さんが私を好きですぐに両思いになるという未来が想定外でした。

……なんて言ったらまずいわよね……?

未だに信じられないけれど、あんなに悩むほど私を想ってくれている……らしい……敦賀さんにそれを言うのはいけない気がする。

返答に迷い逡巡していると、はあぁーあっと敦賀さんらしくない盛大な溜息が横から聞こえてきて、ビクリと身体が震えた。

「何が、私はあなたから見てそんなに鈍く見えますか、だ。鈍感もいいとこじゃないか……」
がっくりとハンドルに突っ伏して、心底呆れ果てたように敦賀さんが呟いた。

でも……特に美人でもなく色気もない私が、『抱かれたい男№1』というとんでもない称号を持つ敦賀さんに想われているなんて、そんな身の程知らずの発想ができるわけがない。

だから、気づいて欲しかっただけ。

もうただの後輩ではいられない私を。
自分でもどうしようもないぐらいあなたを想っている私を。

少しでも異性として意識してもらいたかったの。

「敦賀さん、あの……」
そのまま話したところで、やっぱり鈍いと一刀両断されるのは確実で……とは言え黙りこんでいる訳にもいかず、恐る恐る敦賀さんの肩に手をかけようとした時。

「まあ、いいか」
妙にさっぱりとした声で言うと、敦賀さんはおもむろに身体を助手席に向けて、ぐいと私の顎を持ち上げた。いきなりの行動に戸惑い、続けようとしていた言葉を失う。

「これからは俺の気持ちが分からないという事がないように、遠慮なく君に伝えていくから」
私の瞳を覗き込むようにして、敦賀さんが意味ありげに微笑んだ。

何?と警戒する間もなく、ふわりと敦賀さんの香りが近づいて、ちゅっと鼻の頭に軽くキスをされる。

「つ……敦賀さんっ?」
「好きだよ」

面食らっている私に構わず、敦賀さんの唇は頬に移動して、再び小さな音を立てる。

「大好きだ……」

熱い吐息は次に首へと移り、与えられたのは三度目の啄ばむような肌への刺激。

「君を…愛してる……」
「ま、待ってくださいっっ」

どこまで続くのか分からない甘い囁きとその行動に、鎖骨に触れようとしていた敦賀さんの唇を慌てて両手で塞いだ。

今の私は茹蛸のように真っ赤に違いない。

敦賀さんはクスクスと楽しそうに笑うと、羞恥に震える私の手をやんわりと外した。

「大丈夫、心配しないでいいよ。これ以上はしないから……ここでは」

……ここでは……?

「君がマンションに来なかったのは、俺が箍を外してしまう事を警戒したのが理由かと思ったら、どうやらそうではないらしいし、だったら……」

言葉を切った敦賀さんの顔に浮かぶのは、夜を統べる帝王の妖しい微笑み。

「続きは家に帰ってからね……?」

い…っ……

やぁぁーっ、何考えているんですか~~っと叫ぼうとした声は、私の唇に降ってきた熱にきれいにかき消されてしまった。





「I LOVE YOU を訳しなさいバトン」 END

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