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予想というよりは、この展開はないだろうけどこんなのも(管理人的には)楽しいな♪という話です。
1では他キャラに焦点を当てていて、蓮は出てきません。2は出るはずです……たぶん。
テーマは「ご招待」です。


***************************


<ご招待 1>


「社長さん所有の迎賓館だなんて、そんな凄い所でやるパーティにあたしらみたいなのがお邪魔していいのかい?TVに出ているような芸能人が大勢来るんだろう?」

湯飲みに茶を注いでいた手を止めて、女将がキョーコに疑問の声を投げかける。

「芸能人と言っても私と普段親しくして頂いている方ばかりなので、皆さん気安い方ばかりですし、いつもお世話になっているお二人には是非来て頂きたいんです。」
「そうかい……?でもねぇ、24日と言うと……」
女将は隣に座っている主人をチラリと垣間見た。

居酒屋を経営する二人にとって師走は掻き入れ時であり、しかもクリスマスイブともなれば休業の札を掲げるなど考えられないことだった。

「すみません……お店が忙しい日だということは重々承知しているのですが……」
女将の言いたいことを察し、キョーコが萎縮して答える。

こんな日に二人を誘うこと自体が間違いなのだと分かってはいた。
しかし傷心の彼女を救ったこの夫婦は、キョーコにとって今年誰よりも感謝したい相手だったのだ。

「おい」
「は、はい!」
今まで黙していた大将が、案内状を手にキョーコに呼びかける。

「時間は6時半からなんだな」
「はい、そうです」
「そうか……分かった」
彼はテーブルに手を付いて立ち上がると、女将に視線を向けた。

「24日の開店時間は8時半だ。断り書きを書いて今日の内に店に貼っておけ」
「はいよ、お前さん」
大将の言葉に女将がにっこりと笑う。

「あ……ありがとうございます、大将!」
「……別に礼を言われるようなことじゃない」

後ろ手にパシンと戸を閉めて部屋を出ていく彼の姿を、女将はクスクスと忍び笑いをして見送った。

「女将さん?」
「ああ、いや……何でもないよ。あの人もああ言っている事だし、少しの間だけ顔を出させてもらうことにするよ」
「はいっ!お二人に楽しんで頂けるようなパーティにしますので、宜しくお願いします!」


(良かったなぁ、お二人に来てもらえることになって。無理だろうって思っていたから凄く嬉しい……)

「おい」

(『うちが開店を遅らせるなんて、店を構えて以来初めてだよ』って、女将さんが教えてくれた。そこまでしてもらうんだから、私も頑張って準備しなきゃ)

「おいっ」

(きまぐれの撮影が順調に進んだお陰で今日は時間があるから、色々と進められるわ)

「おいって言ってんだろう!この黒い悪魔っ!」
「誰が黒い悪魔よっ!!」
「ってぇぇぇっ!」
言うが早いか即座に拳が舞い、少年が頭を抱えてうずくまった。

「何すんだよ、ったく!乱暴な女だなっ」
「礼儀を知らない子供に教育的指導をしただけよ。……で、何の用?」

座り込んだ彼はふて腐れたらしく、黙ったまま返事をしようとしない。

「あっ、そう。言う気がないのなら私は忙しいのでこれで」
「ちょっ、ちょっと待て!」
スタスタとその場を離れようとするキョーコを飛鷹は慌てて引き止めた。

「何よ」
キョーコは腕を組み、彼女の腰ほどの背丈しかない飛鷹を斜めに見下ろす。
その仕草に彼はムッとした顔をするものの、また立ち去られては敵わないとばかりに話を切り出した。

「お前……奏江の親友だって言ってたよな」
「……もう一度言って」
「奏江の親友だって言ってた……」
「もう一度!」
「奏江の親友だって」
「もう一回!」
「奏江の親友…」

(ああっ!!親友……なんて良い響きなのっ!そうよ、私の親友、美しき我が心の友、モー子さん……!)

奏江の姿を思い浮かべ、感動に打ち震えるキョーコ……を同じく震えながら睨み付ける飛鷹。

「いい加減にしろっ!少しばかり奏江と仲が良いからって」
「少しばかり……?」

ゴゴゴゴゴゴゴ…………
キョーコの背後から黒い何かがうごめき始める。

「ま、待てっ!俺は今日、奏江の事を聞きに来たんだっ」

目には見えないものの、初めてではないその毒々しい気配を察した飛鷹は早々に白旗を上げた。

「モー子さんの事……?」
顔を出し始めた怨キョ達がシュルシュルと本体へと戻る。

「クリスマスイブに奏江が誰かと約束をしているらしいんだが、お前相手がどんな奴か知ってるか?」
「……へえ~~、モー子さんのイブの予定をどうして飛鷹君が知ってるの?」
「た、たまたま小耳に挟んだだけだっ!どうでもいいだろう、そんな事は!」
意味ありげに笑うキョーコの視線を避けるように、飛鷹がプィッと横を向いた。

「俺は、相手を知ってるのかって聞いてるんだよ」
「そうねえ、知っているって言ったら?」
「……!誰なんだっ」
他所を向いていた飛鷹が一転、身を乗り出すようにしてキョーコに聞く。

「どんな人か知りたい?」
「……ああっ」
思わせぶりなキョーコの態度に苛立ちは募るものの、背に腹はかえられない。
飛鷹はキョーコの言葉に大きく頷いた。

「モー子さんと同じ事務所に所属していて、一緒に演技の勉強をしているわ。TVの仕事も増えてきているわよ」
「LMEの新人って事か。俺の知っている奴なのか?」
「知ってるはずよ。モー子さんとは仲が良くて、二人でお揃いの服を着ていたり……」
「お揃いっ!?おい、奏江がそんな恥ずかしい事をするタイプか!?」
「嘘じゃないわよ。LMEでは知れ渡っている話だから、疑うならうちの事務所の誰かに聞いてみたら?」
「っ……!」
「二人の間に割って入るのは飛鷹君と言えども難しいわね~」

キョーコの言葉に飛鷹は真っ直ぐに下ろした両の拳を握り締めた。

「誰なんだよっ」
「はい、飛鷹君。どうぞ」
切羽詰った様子の飛鷹に構わず、キョーコは彼に一通の封筒を渡した。

「なんだよ、これ!」
「文句を言う前に中を読んでみたら?答えが書いてあるかもよ」

一方的に話を進められて不満は残るものの、渡された封筒に求めている答えがあるならとそれを開ける。
すると、そこには一枚のカードが入っていた。

「ハッピー……?」
「ハッピーグレイトフルパーティ。この一年でお世話になった人に感謝の意味を込めてパーティを開くのよ。主催者は二人で、その内の一人は私」
「日にちは……24日?じゃあ、奏江が約束している相手って……」
「私に決まっているでしょう?」
「おっ……前なぁっ!!!」

いいようにからかわれた事に気づいて怒り心頭の飛鷹に、キョーコは膝頭に手を付き腰を曲げて、目線を飛鷹の高さに合わせた。

「そういう訳で飛鷹君をご招待したいのですが、ご都合はいかがですか?」
「……!俺はお前に感謝なんかされる謂れはないぞっ」
「確かにそうね~。私にも覚えがないもの」

(しまった……!)
反射的に否定したものの、イブを奏江と過ごすチャンスを自らの手で絶ったかもしれない可能性に飛鷹は冷や汗をかいた。

「でもね……」
キョーコがふっと表情を和らげる。

「飛鷹君のお陰で私はモー子さんの個人的な事について教えてもらえたし、モー子さんに本当に受け入れてもらえているんだって思えるようになったの。だから少しは感謝してるのよ?」
「……お前……」
「もちろん飛鷹君は別にそれを狙ったわけじゃないから、単なる結果論にすぎないんだけどね」
「……ったく、一言多いんだよ!可愛くないなっ」
「別に可愛いなんて思われたくないからいいのよ」

「キョーコちゃんは可愛いよっ」
「えっ!?」
「あ……いや、その……っ」

突然割り込んだ声にキョーコが驚いて振り返ると、そこにはつい数十分前まで一緒に仕事をしていた石橋光と飛鷹のマネージャーが立っていた。


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