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待宵草 3

「コーン……かわいそう……」
あの時君は、俺の話を聞いてポロポロと涙を零した。

辛いのは君のはずなのに。
泣くことを許される場所すら持たなかった君は、森の奥深くにそれを求めて。
幼い心には大きすぎる悲しみを抱えていたにも関わらず、君は俺のために泣き続けた。


「あなたを守って欲しいのっ」
その一言と共に、君の頬に涙が幾筋も流れ落ちる。

肌理の細かい肌に触れている手に、直に伝わってくる震え。
君は確かに俺に恐怖を感じていた……それなのに。
君が必死にぶつけたのは、俺のことを心配する言葉だった。

今、君が憂うべきなのはそんな事ではないだろう?
君自身が危険に晒されているというのに、他の事……ましてや俺の事を気遣ってどうするんだ。

あまりにも愚かで馬鹿で、あまりにも純粋で無垢な存在。
昔も今も、君の本質は全く変わらない。

俺のために泣き続ける君を、それ以上傷つけることなどできはしなかった……


俺が大事なのだと、そう君は言う。
だがその想いの深さには大きな溝が存在していることを、気が付いてはいないのだろう。

愛や恋…そんな名前をつけなければ傍にいられないのかと問う君と、どんな手段を以ってしても君を縛りつけようとした俺と。
違いすぎる執着の差は、いつか君を潰してしまうのか。

できるならそのままの君が欲しい。
俺の欲望で君の心を捻じ曲げてしまいたくはないから、だから願う……愛しい君に。

――俺だけを見て欲しい、愛して欲しい。

そう伝えると君は小さく微笑み、そのまま気を失った。
俺はその笑みを肯定と取っていいのだろうか。

そうであって欲しい。
君が俺を受け入れてくれたのだとそう願いたい。

これから先、俺が俺でいられるように君が君であるように。
俺のただ一つの願い事を、聞き入れてはくれないか?

君に与えた質問の選択肢。
その中に拒否の言葉は存在しないのだから。


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