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A~Zまでの単語にからめたエピソード集です。
今回はA~Eまで。

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A…Actor

「これだけ人がいるのに不思議ですね。敦賀さんのことは自然と目が追ってしまいます」
「え……」

キョーコの言葉に蓮は息を飲んだ。

「トップ俳優ともなるとオーラが違うと言うか、光輝いてますね!やっぱり暁の星です、敦賀さんは」

にっこりと笑うキョーコに蓮は一気に脱力する。

(そうだよな、そんなことだとは思ったんだよ。分かっているのに期待する俺がバカなんだよな……)

憂いを帯びた横顔すら魅力溢れる人気俳優は、人知れず溜息を吐いた。


B…Bou

プニュプニュと近づいてくる音。
それが耳に入った瞬間、キョーコの顔が青ざめる。

(しまった!何も考えずに坊を招いたけど……敦賀さんと鉢合わせしたらどうするのよ、私!……というか敦賀さんが今、隣にいる以上、避けて通れない問題じゃないのーーっ!!)

「あれ、君は……」
蓮の言葉にピシリと固まるキョーコ。

『最上さんの知り合いだったの?』
そう聞こうとして蓮はハタと気づく。

(俺、この鶏君にいろいろ話したよな……人に知られたくない勘違いの話とか、恋の話とか……今、話しかけて何かの拍子にその話題にふれられたらどうするんだ、俺!……というか、一番知られたくない人間が隣にいる以上、ここはあえて避けるべきじゃないのか!?)

愛らしくも小首をかしげる鶏。
正面にいるその気ぐるみに不自然なほど目を合わさずに、二人は互いに引きつり笑いを浮かべて立ちつくしていた。


C…Christmas

「クリスマスイブに『感謝パーティ』なんて、何かあるのかなと思ってはいたけど……」

「誕生日、おめでとう」
そう告げた父親に抱きついたマリアを見て、緒方がキョーコに話しかける。

「あの飛行機事故については業界では知られているけど、まさか今日があの子の誕生日だったとは……いろいろと辛かっただろうね」
「マリアちゃん、自分の誕生日が母親の命日だからって自分を祝うこともできなくて……だから、せめて今日一日楽しく過ごして欲しかったんです」
「うん……たぶん、今日はあの子にとって最高の日になったと思うよ。一生忘れられない、ね」

ボロボロと大粒の涙を流しながら父親に縋り付くマリアと、それに応えようと小さな身体を抱き締める父親。

「ハッピーバースデー……そして、メリークリスマス……マリアちゃん」

幸せな親子の姿を、キョーコは温かな気持ちで見守っていた。


D…dish

「キョーコちゃん!美味しいよ、この料理!玄人はだしだねっ。どこかで習ったの?」
「え、ええ……昔、お世話になった家で……」

……と、そこまで言ってキョーコが黙り込む。

(あの頃は気がつかなかったけど、炊事・洗濯・華道・茶道・礼儀作法……全てはアイツの花嫁修業のために教え込まれていということよね?そんなことにも気がつかないなんて、なんてバカなの、昔の私ーーーっっ!!)

ガックリと膝をつくキョーコに、何か悪いことを聞いてしまったのだろうかと社は冷や汗を流す。

(やっぱり俺、キョーコちゃんの地雷ってどこに埋まっているのか分からないよ……)


E…Elf

キョーコは手の平に収まるほどの小さながま口から青い石を取り出すと、上に掲げ照明に透かした。

(コーン……あなたにも、いっぱいお世話になった……本当は招待状を送りたかったけど妖精の国に手紙は届かないから、せめてこの気持ちだけでも伝わるといいな。ありがとうコーン)

「こちらこそ、ありがとうキョーコちゃん」

優しい声に驚きキョーコが顔を上げると、そこには先輩俳優が立っていた。

「コーンにお礼を言っていたんだろう?彼は君にそう言いたいんじゃないかなと思って」
呆然と見つめるキョーコに、蓮は言葉を続ける。

「君のエールはきっとコーンに伝わっているよ。今日のことも虹色の蝶が彼の国へと羽ばたいて知らせてくれているんじゃないかな。君の想いも一緒にね」

コックコートのポケットに何枚も入れられた蝶。
社長の趣向がキョーコのメルヘン思考にヒットしていたのを目の当たりにしていた蓮は、それを引き合いに出した。
虹色に光る蝶を一枚取り出し、キョーコはそれをじっと見つめる。

「私……本当にコーンが返事をしてくれたのかと思いました……」
「そう……?」
実は本人ですと名乗り出るわけにも行かず、蓮は内心苦笑する。

「そうですね……コーンに私の気持ちが伝わっているなら、それが一方通行だとしても嬉しいです。私、コーンにはいっぱい助けてもらいましたので」

(助けてもらったのは俺の方だよ、キョーコちゃん)
口に出すことはできない言葉……それが少しでもキョーコに届くように、彼は『敦賀蓮』として彼女に語る。

「最上さんがそんなに強く想っているんだ。コーンも君からいっぱい力をもらっていると思うよ」

蓮の言葉にキョーコはにっこりと微笑んだ。

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