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「では俺で不足がないと、そういう解釈でいいのかな?」
「え……?」
「君の恋の相手として、だよ」

ええええええええ!?

ちょっと待って!
敦賀さんに魅力がないとか、そんなトンデモ発言に思わず否定してはみたけれどっ。
なぜ敦賀さんが私の恋の相手なんて話になっちゃうの!?

さらりと爆弾発言をした当のご本人は、手を組んで微笑んでいる。
この余裕綽々といった表情!

もしかして私、遊ばれていたり……する?
あたふたしている私を見て楽しんでいるとか?

そうよ、それが一番ありそうだわ。
悪趣味だとは思うけど、だって敦賀さんが本気でそんなことを言い出すわけがないもの。

そういうことならば……!

「そうですね、敦賀さんなら最高の相手です」

やられているばかりでは性に合わない。
度が過ぎる遊びのツケを払ってもらいましょうか?


          *************


否定、あるいは拒絶するとばかり思っていたのに、返ってきたのは予想外にも肯定の言葉。
まるで開き直ったかのような、この落ち着きようはなんだ?

まさか俺への想いを自覚したとか……?
この超絶天然鈍感娘が、いきなり?

……あり得ない。

それならば、彼女は何を考えている?

「それは俺となら恋をしてもいいということ?」
「そうです。でも私、不器用なので……そうなると敦賀さんのことしか見えなくなりますよ?」

チロリと俺の顔を見る彼女の目。
俺を疑っている?
いや、むしろこれは……

「俺のことだけを想ってくれるというなら、男としてこれ以上幸せなことはないだろうね」

乗ってみようか、君の挑発に。


          *************


『男として』ね。
自分の感情ではなく、一般論でくるあたり流石に抜かりがないわ。

「敦賀さんは優しくて格好良くて、素敵な人だから、私はきっとあなたに夢中になります」
「本当に?」
「ええ、本当ですよ。言ったでしょう、敦賀さんほど魅力的な人はいないって」
「俺にとっても君はとても魅力的な女性だよ……?」
「敦賀さんの目に私がそう映っているなら、嬉しいです」

この人に好意を持っている女性は、きっと山程いる。
だから敦賀さんはこういう話題に関して麻痺しているんだろう。
食事の席での軽い仮定話、後腐れのない言葉遊び……多分、そんな感じ。

それはそれで別に構わない。
但し私の預かり知らないところでやる分には、よ。
私のような色気の欠片もない女に、そんな戯れは相応しくないでしょう……?

「私は敦賀さんが大好きで、敦賀さんだけを見て、敦賀さんのことだけを考えて、敦賀さんのためだけに生きるんです」

私は以前そんな接し方をしていたんですよ、アイツに対して。

「敦賀さんが笑っているときには私も笑って、悲しんでいるときには一緒に悲しんで、怒っているときには共に怒って」

全てを共有している気になって、相手との温度差に気づこうともしなかったんだから愚かでしょう?

「そしてね」

敦賀さん……ひと時の言葉遊びを楽しんでいるあなたに、現実を。

「あなたが私から離れていく時には、私はあなたをこの世の誰よりも憎むんですよ」

嫌でしょう?敦賀さん。
こんな重い女……冗談でも恋の相手などとは、言いたくなくなるほどに。


          *************


発した言葉とは裏腹に、最上さんはにっこりと笑った。
それは哀しいほどに美しく、俺を牽制していた。

そこまで君に想われたなら……

そう感じる一方で、かつてそれを享受していながら彼女に背を向けた男の姿が頭を過ぎる。

未だに君の中に存在している男。
君を傷つけている男。

胸に焼けるような痛みを覚える一方で、彼女にも苛立たしさを感じていた。

君は俺を遠ざけるために、わざわざそんな話をしたのか。
自分に近寄るなと、そう伝えるために。

そんなにも俺から離れたいのか、君は……?

走り出しそうになる凶暴な感情。
だが、何かがそれにストップをかけている。

それだけではないと。
辛いのは、苦しいのは俺だけではないと語っているのは……

痛みに耐えて笑っている……彼女自身か?


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