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次号からは違う展開になるかな?とは思うのですが、アルファベットお題ではパーティの話を続けていきますね。

P、Qです。

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P…Present

豪奢なフロアにバースデーソングが流れる。
歌声、手拍子、笑顔……多くの人々の祝福が、一人の少女に贈られていた。

顔を真っ赤に染めて泣きそうなほどに、幸せそうに笑っている親友を見て、奏江は心の内で溜息を付く。

(全く、この子ってば妙に遠慮するところがあるんだからっ!誕生日が今日なら今日で、ちゃんと言えばいいのに!)

危うくプレゼントを渡し損ねるところだったわと、人知れず胸を撫で下ろす。

以前ドラマの仕事に復帰した際には、キョーコからお祝いだと手作りの厄除け人形をもらっていた。
モノはどうあれ――こんなことは照れくさくて決して本人には言いたくないけれど――つっけんどんな物言いしかできない自分を見捨てることなく、色々と心配をしてくれた彼女の気持ちが言葉では言い表せないほど嬉しかった。
だからこそ、それを少しでも返したいと思う気持ちは常に心の奥深くにあった。

(プライドを捨てて勇気と根性で手に入れたコスメキット……それをたった一本のバラなんかに負けたくないという一心で勢いで渡したけど……あの子の喜ぶ顔なんて、本当に最初から分かってはいたけど……)

喜色満面、喜びに打ち震えて、うっとりとプレゼントを見るキョーコを思い出して、奏江は頬が緩みそうになるのを必死で抑えていた。


Q…Queen

「あのテーブルに置いてあるバラ、見事な大輪ね。まるでクイーンローザみたい」
「クイーンローザ?」

(テーブルのって……もしかしてあのピンバラのこと?)
招待客の会話に、奏江は何とはなしに耳を傾ける。

「この間買った雑誌に『ついに誕生』って見出しで特集が組まれていたのよ。バラが好きだからつい目が行っちゃうんだけど、花弁の形とか花の大きさとかよく似てるのよね。違うとは思うんだけど……まだ一般の花屋さんで買えるような代物じゃないし」

一般では買えない?
……まさか……まさか、ね。
ただの後輩にそんな手に入れにくい物を贈るわけはないから、きっと違う花よ。

そう思いつつも妙に気になり、奏江はキョーコの元へと足早に向かう。

「どうしたの?モー子さん」
「あんた、あのバラの名前を敦賀さんから聞いた?」
「え?うん、敦賀さん言いかけたんだけど……」
「だけど!?」
「…………聞き損ねてしまって」

「実はモー子さんが話の途中で般若の如く迫ってきたので、聞くことができなかったのよ」とは流石に言い辛く、キョーコは言葉を濁した。

「あーーもう、あんたって子はっ!どうしてしっかり聞いておかないのよ!」
「で、でもねモー子さん、ヒントはあるのよっ」

一人怒り心頭な奏江に何が何だか分からずに冷や汗をかきながらも、キョーコはそのヒントの言葉を述べた。

「キング オブ ローズ?」
「うん、私がそう言ったら『惜しい』って」
「…………」

その単語が示す方向は、奏江が予想している物と同じ方角を指しているような気がするのは……考えすぎだろうか。

「あんた、確か敦賀さんに生理的に嫌われているって言ってなかった……?」
「それが……ね、もしかしたら自分で考えているよりも嫌われてないかもって、最近はそう思えるようになってきたの」

思い上がりだとは分かってるんだけどね、と少し照れながら自嘲するキョーコに奏江は眩暈を感じた。

(誕生日を迎えたその瞬間にしっかりと傍に陣取っていて一番にプレゼントを手渡すような男が、アンタを爪の先ほどだって嫌っているわけないでしょーーがっっ!!!)

鈍い、あまりに鈍すぎるっ!

……とは思うものの、何といっても相手は芸能界きっての人気俳優。
彼がこの子のことを……なんて、思う私の方が考えすぎなのかしら……?

奏江は暴走しそうな思考にとりあえずストップをかけて辺りを見回すと、当の本人と目が合った。
彼女の視線に気づくと、蓮はにっこりと微笑む。

気のせいでは……ない……?
今、敦賀さんが見ていたのは私ではなくて、おそらく……

「モー子さん?」
黙り込んでじっと自分を見つめる奏江を訝しんで、キョーコが彼女の名を呼んだ。

もしも……と、奏江は思う。

もしもバラの名前が仮定通りなら、彼がその花を選んだ理由は多分。

この子が好きそうだったから。
この子の喜ぶ顔が目に浮かんだから。

それだけのために、彼は多少の手間など惜しまずにクイーンの名を冠する花を選んだのだと……想像できてしまうのは同じ道を辿ったが故。

「モー子さん、どうしたの……?」

何も知らない少女は無垢な瞳で、不思議そうに彼女の親友に問いかけていた。


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バラの名前の意味、実際はどうなんでしょうね?
考えすぎるとサックリと外されそうな気もします……(汗


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